新型コロナウイルス抗体検査について
以下の文章をご参考に、ご自身の抗体検査の結果をご確認ください。
なお、新型 コロナウイルスついては明らかになっていないことが多く、診断や治療の目安としてどの抗体を、どの時期に、どのような方法で測定するのが最善なのか、世界共通の基準はまだ確立していません。今後新たな知見により検査方法や結果の解釈が大きく変わる可能性があることをご了解ください。(2021/9/28)
細菌やウイルスなどの病原体が身体に侵入すると2つの系統の免疫が発動して病原体と闘い、また次の感染に備えます。
細胞性免疫 | 食細胞が病原体を貪食、キラー T リンパ球が感染した細胞を破壊する |
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液性免疫 | Bリンパ球が様々な抗体を産生し、ウイルスの再感染や増殖を予防する |
ウイルスに感染すると、あるいはワクチンを接種すると液性免疫により病原体に対応する抗体が作られ、感染から1~2週間経つと血液検査で検出することができます。
抗体には様々な種類がありますが、ウイルスの細胞への侵入を防ぐ抗体を特に「 中和抗体」と呼び 、 再びウイルスに暴露しても、そのウイルスに対する中和抗体が十分あれば、感染・発症しにくくなります。
新型コロナウイルスの表面にはとげ のような形をした スパイクがあり、細胞への 結合・侵入に主要な役割を果たしています。スパイクに対する抗体があるとウイルスの細胞への結合がブロックされるため、感染しにくくなります。
この検査で測定するS蛋白IgG抗体は新型コロナウイルスのスパイクに対する抗体です。S蛋白IgG抗体の量は中和抗体の活性とよく比例するため、S蛋白IgG抗体を定量的に測ることで新型コロナウイルスに対する免疫力がおおよそ判るのではないかと期待されています。
新型コロナウイルスに感染すると、またはmRNAワクチンを接種すると S蛋白IgG抗体価はどの程度上がるでしょうか?
新型コロナウイルスに感染した人、mRNAワクチンを接種した人のS蛋白IgG抗体を当院と同じ試薬(Abbott社 ARCHITECT SARS CoV 2 IgG II Quant)用いた研究が日本から報告されています。
その他諸外国からの 研究報告の結果も併せると、以下のように非常に幅広い値となっています。
・新型コロナウイルス感染から2~4週間後:50~10,000AU/mL
・mRNAワクチン2回目接種から1~4週間後:1,000~40,000 AU/mL(中央値 6,000~22,000AU/mL)
尚、抗体がどれだけあればどの程度感染が予防されるか?といった具体的な数値は未だ明らかになっていません。「4,000AU/mL 程度あれば」「1,000AU/mL でも十分ではないか」など諸説あります。
ワクチン接種後に抗体を測る一番良いタイミングはいつでしょうか
2回目のワクチン接種から1~2週間後を目安に測ることをお勧めします。
ワクチンの接種後、時間と共に抗体は減るのでしょうか?
2回目接種1~2週間後と比べ、3 か月後・6 か月後の抗体価は 1/5 、1/10 未満に低下しています。
S 蛋白IgG抗体の量が減ってしまうと、その減り方に応じて再び感染・発症しやすくなるのでしょうか?
抗体の減少に比例してウイルスに対する免疫力が低下するとは限りません 。 私たちの身体の中では抗体による液性免疫に加え細胞性免疫も働いており、抗体の量の多い少ないだけでワクチンの効果を単純に評価することはできないと考えられています。
(参考文献:https://doi.org/10.1101/2021.05.21.21257575, Krammer, F. Nat Med 2021. Earle, KA. Vaccine 2021. Khoury, DS. et al. Nat Med 2021. Cohen, S. Science 2021. Vassilaki, N et al. Microorganisms 2021. Naaber, P. et al. Lancet Regional Health 2021.)
新型コロナ抗体検査のご案内
検査目的 | 過去に感染したことがあるかどうか(おおよそ半年以内) ワクチンの接種でどの程度抗体が作られているか |
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対象 | 検査を希望される全ての方 |
検査日時 | 曜日によって予約可能時間が異なります。 新型コロナウイルス 抗体・中和抗体検査 WEB予約をご参照ください |
予約 | WEB予約をご利用ください。予約なしの場合はお待ち時間が長くなる場合がございます。 |
検査方法 | 採血(1-2ml程度) |
所要時間 | 約5-15分程度 |
検査費用 | 8,800円(税込) |
所要日数 | 検査後2日(月曜検査→水曜結果) |
結果報告 | 郵送 または メール 医師から結果説明希望の方は1,650円(税込)午前中のみ対応 |
企業・団体のご担当者様
団体での検査をご希望される事業所様はお電話ください。海外渡航前健診との同時受診やトラベルワクチンの接種、請求書払いなどのご要望にも柔軟に対応いたします。
よくあるご質問
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新型コロナ抗体検査とは何ですか?
抗体検査は「過去の感染」「免疫獲得」を確認するための検査です。「現在」の感染の有無を調べるには、PCR検査が適しています。
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どんな人が検査に向いていますか?
・過去に新型コロナに感染した(または不明)な方で、ワクチンを接種すべきかどうか迷っている方。 ※過去に新型コロナにかかっていても、WHO等ではワクチン接種が推奨されています。
コロナワクチン2階接種後、ちゃんと抗体がついているか確認したい方。
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新型コロナウイルス抗体検査はいつ受けれればいいですか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、IgG抗体は発症後約10日で上昇し、発症後14日目以降の陽性率は100%と報告されていますので、
過去感染が気になる方→ 症状が出てから14日後以降の検査
ワクチン接種後→ 2回目の接種を終えて1週間後以降 または 調べたいタイミング
をお勧めします。
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新型コロナウイルス抗体検査の精度はどの程度ですか?
当院で使用するARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)は、欧州での使用を可能とするCEマーク、米国ではFDAの緊急使用許可(FDA-EUA)を得ており、感度99.35%、特異度99.6%と報告されていますので、特に信頼できる検査であると考えられます。
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新型コロナウイルス抗体がどのくらいあれば安心ですか?
培養細胞での試験結果では、4,160AU/mLが高力価抗体の目安とされていますが、必ずしも4,160 AU/mLに抗体価が満たないからといって中和活性が認められないというわけではないと考えられます。ヒトの体内でどれだけの抗体価があれば、発症や重症化予防に十分であるかは明らかになっていません。
<欧米の研究>
ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価について、1回目の接種後の中央値 2,217 AU/mL, 2回目の接種後の中央値 6,396 AU/mL と報告されています。<日本人を対象とした研究>
*2021年5月に長崎大学より発表
ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価について、1 回接種後14 日の中央値は約1,000AU/mL、2 回接種後7 日の中央値は約22,000AU/mLと報告されています。 -
新型コロナウイルス抗体はどのくらいまで残るのか?
まだワクチンの効果がどの程度持続するのかはまだわかっていませんが、最近のハンガリーでの研究では、ファイザー社/ビオンテック社製ワクチンについて、2回目の接種後1週間でピークとなり、以後は中和抗体が減少する可能性が報告されています。
国立国際医療研究センターの報告では、2回目接種後30日の時点で平均42%減少する可能性が報告されています。
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PCR検査と同時に検査はできますか?
はい、可能です。PCR検査予約時にお申し出ください。
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日本語が話せませんが、大丈夫ですか?
はい、英語や中国語でも対応しますので、ご安心ください。
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お支払いは現金のみですか?
各種クレジットカード(一括支払いのみ)、電子マネーもご利用いただけます。
【クレジットカード】
JCB・VISA・Master Card・American Express・Diners Club・Discover【電子マネー】
交通系IC (Kitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca 、ICOCA、SUGOCA、nimoca、はやかけん)、楽天Edy、WAON、nanaco -
領収書は発行してもらえますか?
はい、発行いたします。英語でも発行いたします。
ご来院いただいてからご記入いただく問診票、または、WEB問診にご希望のお宛名を記入ください。