A型肝炎のリスク要因

A型肝炎ウイルスに感染する可能性のある場合は、A型肝炎ワクチンの予防接種を検討してください。

次の方はA型肝炎ウイルスに感染する可能性があります:

  • 安全な水の供給が難しい場合や上下水道の処理が整っていない国や地域に渡航・旅行する方
  • 予防接種を受けずに、A型肝炎に感染する可能性のある国に渡航・旅行する方
  • 同性間性的接触する方
  • 注射薬物使用する方
  • 感染した人との同居生活している方
  • 慢性肝疾患をお持ちの方
  • 急性A型肝炎に感染している人の性的パートナーの方
  • HIV陽性の方
  • すでに肝疾患の持病がある方や他の肝炎疾患をお持ちの方

A型肝炎ワクチンの予防接種を積極的に推奨する方

  • 慢性肝疾患の方
  • 凝固因子製剤で治療されている方
  • ウイルスを扱う職業の方

*米国ではA型肝炎ワクチンは子どもの定期接種になっていて、1歳から全員が受けるのが基本です。
日本では2013年3月から任意接種ですが、子どもでも国産のA型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)を受けられるようになりました。

当院で接種可能なA型肝炎ワクチン

国産

A型肝炎ワクチン

 

輸入

A型肝炎ワクチンHavrix

輸入

A型肝炎・B型肝炎
混合ワクチン Twinrix
A型とB型肝炎を1本のワクチンで

 

A型肝炎の発生状況

中国、インド、東南アジア諸国、中東諸国、南アフリカ諸国、南米諸国、カリブ海諸国
(いわゆる日本を含めた先進国以外の全世界)

A型肝炎の発生状況

B型肝炎発生状況

A型肝炎とは?(感染原因と症状)

感染経路

A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)によって引き起こされるウイルス感染症です。A型肝炎ウイルスは経口感染(飲食物を摂取することで感染)しますので、汚染された水や氷、甲殻類、汚染された水で洗われた果物や野菜(サラダ)を生で食べないように注意する必要があります。A型肝炎ウイルスは85度で2分間加熱すると死滅します。

症状

  • A型肝炎の潜伏期間は平均28日間(15-50日)です。
  • A型肝炎の症状は、軽症から重症まで幅があります。
  • 倦怠感が強くなり、黄疸(皮膚や目の黄染)、発熱、不快感、食欲不振、強い腹痛や下痢などが見られます。
  • 重症になると1~2ヶ月以上の入院が必要になる場合もあります。
  • 年齢が高くなるに連れて、症状がより重症となり死亡率が上がります。
  • 幼児(6歳以下)では70%が無症状で、黄疸は10%程に過ぎませんが、大人は70%を超えます。
  • 一般的に死亡率は0.8%と低いですが、50歳以上では死亡率は1.8%と高くなります。

A型肝炎の診断

A型肝炎の確定診断は血中の特異抗体(IgG-HAV抗体(IgM))の検出によって行われます。

A型肝炎を予防するには

ウイルス性A型肝炎に感染する可能性のある国へ旅行する方は接種をお勧めいたします。

A型肝炎の抗体検査も実施しております。A型肝炎に対して抗体があるかどうかご不明な方はA型肝炎抗体検査をお勧めいたします。ご希望の方は、お気軽にお問合わせください。A型肝炎抗体検査の結果が出るまでには2~3日程かかります。

A型肝炎ワクチンの種類と接種方法

A型肝炎ワクチン エームゲン(国産)

基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、2~4週間後、6~24か月後
接種対象年齢:1歳以上
基礎接種後の抗体持続期間の目安:約10年以上
販売元:化血研

抗体のつくめやす-国産A型肝炎ワクチンの場合
予防としての抗体価がつくのは、2回目接種をした約2週間後です。
海外赴任・出張、旅行目的で接種される方は、最低2回接種してから出発しましょう。

3回目の接種-国産A型肝炎ワクチンの場合
海外赴任、留学、旅行等で長期的に海外へ行かれる方は、一時帰国時などを利用して3回目の接種をしましょう。海外で幅広く使われているA型肝炎ワクチンの接種回数は通常2回です。日本国内で生産されているA型肝炎ワクチンは基礎接種が3回ですので、現地の医師が3回目は不要と接種をされないケースも見られます。3回目の接種時期(6か月から1年)に日本で接種が出来ない場合は、海外で幅広く流通しているHavrixの接種のご検討をお勧めしています。

3回目を接種しないとどうなる?-国産A型肝炎の場合
複数回接種の必要なワクチンでは、2回目、3回目の接種時期を守りましょう。適切な時期に接種をすることで、更なる抗体価を高めることが望め、同時に持続期間も長くなります。2回まで接種を完了し、3回目を接種しないと抗体価は3回目の時期を境に減り始めます。

0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 6~24か月
エームゲン 初回 2回目 3回目

A型肝炎ワクチンHavrix1440 成人用、Havrix720 小児用(輸入)

※1回接種で約14日後には抗体がつく輸入A型肝炎ワクチン

輸入 A型肝炎ワクチンHavrix
基礎接種回数:初回、6-12ヶ月後
接種対象年齢:Havrix1440 19歳以上
接種対象年齢:Havrix720 1~18歳
販売元:GlaxoSmithKline社
0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 6~12か月
Havrix 1440
(19歳以上)
初回 2回目
Havrix 720
(1-18歳以下)
初回 2回目

A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン Twinrix(輸入)

A型肝炎とB型肝炎の混合ワクチン

基礎接種回数:3回
接種間隔:初回、4週間後、6か月後
接種対象年齢:16歳以上
基礎接種後の抗体持続期間の目安:15~20年
※基礎接種後、1か月以降に抗体検査推奨
販売元:GSK
0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 6か月
Twinrix
A型肝炎&B型肝炎混合
初回 2回目 3回目

A型肝炎B型肝炎混合ワクチン

16歳以上の方でA型肝炎とB型肝炎の両方を予防する場合は、A型肝炎B型肝炎混合ワクチンの接種により一度に両方の肝炎の予防ができます。(E.Uでは16歳以上、U.S.では18歳以上)

A型肝炎ワクチン接種による副作用

薬やワクチンなど、体内に入ると何かしらの副作用の可能性は生じます。多くはマイルドで数日で自然に消滅しますが、重篤な副作用を起こす可能性もあります。A型肝炎に対する基礎免疫をつけるには一定の間隔で2-3回の接種が必要です。 おもな副反応は、注射部位の発赤、腫脹(は れ)や硬結(しこり)、圧痛、疼痛、そう痒感などがあります。 その他には発熱、倦怠感、頭痛、頭重感、下痢、熱感、全身筋肉痛などがあらわれることがありますが、通常は通日で消滅します。

A型肝炎ワクチンのご予約について

トラベル科は予約制ですが、当日予約も可能です。 お電話またはWEBからご予約ください。

ご予約はこちらから

03-5783-5521
受付時間 9:00~18:00
WEB
予約案内
診察受付時間
午後 10:00~13:00 × ×
午後 14:30~17:30 × ×
  • A型肝炎はどうやって広がりますか?

    日本のように上下水道の衛生環境が整っている先進国では、A型肝炎抗体保有率が低いことから集団発生が見られます。日本では60歳未満の場合、ほとんどの世代でA型肝炎に対する抗体(HA抗体)を持っておりませんので、これらの人々がA型肝炎の流行地へ海外旅行に行くことで感染するケースが多いです。

    また、汚染された輸入食材経由の感染も懸念されています。また、自然にA型肝炎ウイルスが集まった貝を生で食べたりしてうつります。

    十分に加熱した食べ物からはうつりませんが、ウイルスがついた手で食べ物に触るとうつる可能性もあります。回転寿司店で料理人を介して集団感染した例もあります。

    A型肝炎の潜伏期間は約1ヶ月と長く、未発症の感染者が感染源として食品を汚染し集団発生することがあります。

  • A型肝炎は伝染性ですか?

    A型肝炎ウイルス(HAV)は糞便中に排泄され、糞口感染で感染します。そのため、A型肝炎感染患者の発生は衛生環境に影響されやすいです。 A型肝炎は発展途上国で蔓延していますが、先進国では上下水道などの整備により感染者は激減しています。

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