当院で摂取可能なコレラワクチン

コレラの発生状況

コレラ菌にはたくさんの血清型が存在しますが、流行を起こすコレラ菌はO1血清型と O139血清型の2種類だけです。最近の流行はすべてO1血清型コレラ菌です。O139血清型コレラ菌はバングラデシュで1992年に流行しましたが、最近では散発的な発生だけに留まっており、アジア以外での確認はありません。尚、血清型の違いによる症状の違いはありません。

WHOの報告では2016年に約13万件以上のコレラ感染者と2400人以上の死亡者が記録されています。全体としてはアフリカ54%、アジア13%、ヒスパニオラ32%が多くを占めています。およそ300万~500万のコレラ報告と10万人以上の死亡者が毎年世界中で起こります。

コレラの流行

  • コレラの世界的流行は現在まで7回記録されいます。
  • 第1次世界流行は1817年にインドのガンジス川河口域が発生起源とされ世界中に広がりました。
  • その後、1899年の第6次世界大流行までの発生起源は全てインドのベンガル地方から世界に広がったと考えられています。
  • 1961年に始まった第7次世界大流行はインドネシアのセレベス島(現在のスラワシ島)が発生起源で、1971年にアフリカ大陸に広がり、1991年にアメリカ大陸に広がりました。この流行は現在も世界中に広がっています。

コレラの流行地域

現在は南米、アフリカ大陸、アジア大陸の一部がコレラ流行地域となっています。

  • 南米大陸ではキューバ、コンゴ共和国、ドミニカ共和国、ハイチ
  • アフリカ大陸ではのケニア、タンザニア、ソマリア、イエメン
  • アジア大陸ではアフガニスタン、イラクなど

コレラワクチン接種をお勧めする方

コレラに感染する危険性のある国や地域に行かれる方。

コレラの発生状況

コレラの発生状況

コレラの感染原因と症状

感染経路

コレラ菌は衛生環境が整っておらず、安全な水の供給が乏しい人口密集地域で発生しやすいです。安全な水と下水道設備が整っていない環境が深く関係し、必要最低限の清潔な飲料水や衛生環境が整備されていない都市周辺のスラム街や難民キャンプなどは感染流行が高まるリスクがあります。

コレラは伝染性ですか?

はい。コレラ菌は代表的な経口感染症の1つで、コレラ菌で汚染された水や食物を摂取することによって感染します。

症状

潜伏期間は5日以内。普通は2~3日で、早ければ数時間。症状が非常に軽く、1日数回の下痢で、数日で回復する場合もある。通常、突然お腹がゴロゴロ鳴り、水のような下痢が1日20~30回起こる。腹痛・発熱はなく、むしろ低体温となり、34度台にも下がる。急速に脱水症状が進みます。

コレラの治療

コレラ菌は、急性の下痢を起こす疾患で、治療しなければ数時間で死に至ることもあります。

  • 水分補給
    速やかに経口補水液(ORS)を投与して失われた液体と電解質を補給します。 ORSソリューションは、沸騰した水またはボトル入りの水1Lと砂糖ティースプーン6杯と塩ティースプーン1/2杯で作れます。成人の中等度の脱水を治療するためには初日にORS 6Lを必要とすることがあります。 水分補給なしではコレラ患者の約半分が死亡します。治療により死亡者数は1パーセント未満に低下します。
  • 静脈内輸液
    ほとんどのコレラ患者は水分補給だけで助けられますが、重度の脱水状態では静脈内輸液が必要な場合があります。
  • 抗生物質重
    重症患者には抗生物質の使用により下痢とコレラ菌の排泄量と期間を短縮します。(児童には亜鉛サプリメントも推奨されます。)

コレラ菌の取り扱い

コレラ菌は3類感染症に指定されています。ヒトの感染が確認された場合は保健所に届け出が必要です。

コレラを予防するには

不衛生な食材や調理環境下での摂食では、感染の危険性が高い。流行地域ではアイスクリームや生もの(サラダや果物、十分加熱しない魚介類など)、生水や氷(凍った生水です)は避け、また体調維持に努める。 不衛生な上水道、河川水で洗われた食器にも注意が必要です。

コレラに感染する可能性のある国へ旅行する方は、コレラワクチンの摂取をお勧めいたします(飲むワクチンです)。

コレラに感染する可能性のある国へ旅行する方は、これら予防としてコレラワクチン摂取(経口ワクチン)をお勧めします。

コレラワクチンの種類と接種方法

コレラワクチンは経口ワクチンのみです(注射タイプは有効性が低く推奨されていません)
弱毒ワクチン(Vaxchora)と不活化ワクチン(DukoralとShanchol)の2つのタイプがあります。

コレラワクチン DUKORAL★経口タイプ(輸入)

DUKORALは経口(飲むタイプのワクチン)の不活化ワクチンで、病原性大腸菌による下痢症状とコレラ菌による下痢症状の予防に効果的です。2回摂取することにより病原性大腸菌の下痢症状には約3ケ月、コレラ菌の下痢症状には約2年程の予防効果が期待できます。2回摂取してから1週間程で効果が出ます。

※★コレラワクチンDukoralは胃酸に不安定ですので、前後1時間は絶飲食をし、薬の服用も控えてください。

基礎摂取回数:2回
摂取間隔:1-6週間後に2回目
接種対象年齢:2~6歳は3回、6歳以上は2回
基礎接種後の抗体持続期間の目安:約2年
追加摂取:5年以内は1回摂取
追加摂取:5年以上は初回と同様
販売元:GlaxoSmithKline社
コレラワクチン Dukoral
  0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 6週間
Dukoral 初回 2回目

世界で流通している他のコレラワクチン

  • 経口弱毒ワクチン(Cholera Vaccine, Live, Oral)
    商品名: Vaxchora(PaxVax社)
    主な流通国:アメリカ
    摂取回数:1回
    対象年齢:18-64歳(2020年には2-17歳もFDA承認の予定)
    有効期間:2年間
  • 経口不活化ワクチン(Cholera Inactivated Oral Vaccine)
    商品名:Shanchol
    主な流通国と商品名:インドではShanchol、ベトナムではmORCVAX、韓国ではEuvichol (EuBiologics)、アフリカではEuvichol-Plus
    摂取回数:2回
    摂取間隔:少なくとも14日間あける
    接種対象年齢:インド・韓国は1歳以上、ベトナムは2歳以上
    基礎接種後の抗体持続期間の目安:約5年
    追加摂取:3-5年以内は1回摂取

コレラワクチンDukoral(デュコラル)の費用

コレラワクチンは保険適用外のため、医療機関により料金は異なります。

1箱に2回分入っています。当院では初回の方には1箱(2回分)単位でご用意しています。追加1回摂取の場合は、1回分でご用意します。

コレラワクチンDukoral(デュコラル)はどこで購入できますか?

現在、日本で承認されているコレラワクチンはありません。

そのため、全てのコレラワクチンは国内未承認ワクチンとなります。トラベルクリニックで取り扱っている場合が多いです。

コレラワクチンDukoralの副作用

Dukoralワクチンで報告される副作用は軽い胃症状です。重篤な副作用の報告がほとんどない安全性の高いワクチンです。

Vaxchoraワクチンで報告される副作用は疲労、頭痛、腹痛、吐き気、嘔吐、食欲不振や稀に下痢があります。

Dukoralの有効性と持続期間、追加摂取

コレラワクチンDukoralは2回目を内服して1週間から効果が出ます。

予防効果は全年齢で6か月間85%です。

2-5歳:投与後6か月後に100%、1年後に31%、2年後に24%、3年後に2%

6歳以上:投与後6か月後に76%、1年後に78%、2年後に61%、3年後に40%

追加摂取(ブースターショット)は2-5歳で6か月、6歳以上で2年ごとが推奨時期となります。

コレラワクチンのご予約について

トラベル科は予約制ですが、当日予約も可能です。
お電話またはWEBからご予約ください。

ご予約はこちらから

03-5783-5521
受付時間 9:00~18:00
WEB
予約案内
診察受付時間
午後 10:00~13:00 × ×
午後 14:30~17:30 × ×
  • 妊娠中にコレラワクチンを服用しても安全ですか?

    妊婦にはコレラワクチンは推奨されていません。
    尚、DukoralはHIV感染など免疫抑制があっても摂取可能ですが、Shancholは推奨されていません。

  • コレラはどのようにして感染しますか?

    コレラ菌に感染した糞便が口に入ったり、コレラ菌に汚染された水や食物によって人から人へ感染する可能性があります。

  • コレラは感染しますか?

    コレラは非常に感染力があります。

  • コレラの病原体は何ですか?

    コレラは、コレラ菌(Vibrio cholerae O1およびO139のうちコレラ毒素産生性の菌)が病原体です。

  • コレラによる死亡者はどのくらいいますか?

    世界では毎年、推定で130万~400万人のコレラ患者が発生し、21,000人~143,000人が死亡しています。

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