当院で接種可能な狂犬病ワクチン

狂犬病とは

狂犬病は、動物・人をはじめ全ての哺乳類で脳炎を起こして死亡させる重症疾患です。人間(ヒト)の国内での狂犬病感染の症例は1957年を最後に感染例がなく、1970年にネパールで1例、2006年にフィリピンで2例、現地で感染し帰国後に発病・死亡しています。現在、日本は狂犬病フリー国ですが、先進国を含む世界のほとんどの国で、狂犬病ウイルスをもった動物が存在し、全世界で毎年多くの方が死亡しています。発症すると100%死亡する治療法のない感染症です。WHOは年間数万人が狂犬病で死亡しており、その大半がアジア諸国で発生していると報告しています。感染リスク地域へ行かれる際は狂犬病ワクチンを事前に接種(暴露前接種)し、野犬や動物と接触しないよう心がけてください。狂犬病ワクチンは国内外に多くのワクチン製剤が流通しています。海外渡航先でワクチン接種をする際にも注意する点がありますので、正しい知識を持ってご自身の安全を守りましょう。

狂犬病の発生状況

日本、英国、スカンジナビア半島の国々などの一部の地域を除いて世界中に存在します。特にインド・ネパール・東南アジア諸国・中南米諸国・アフリカ諸国へ旅行される方。

狂犬病患者数(年間)と犬からヒトへの狂犬病伝播リスク

狂犬病患者数(年間)と犬からヒトへの狂犬病伝播リスク

狂犬病を引き起こす可能性のある動物

アメリカ - アライグマ・コウモリ・スカンク・コヨーテ・キツネ
南米 - マングース・コウモリ・イヌ
アジア - イヌ・サル
南太平洋 - コウモリ
中東 - イヌ・オオカミ・キツネ
ヨーロッパ - キツネ・コウモリ
アフリカ - コウモリ・マングース・イヌ・キツネ・ジャッカルが有名

咬傷後の場合には、生命に係わる感染症であるので大人も子供でも、咬傷後のワクチン接種をお受けください。尚、犬などの小動物は、10日ほどで死亡します。咬んだ犬が10日以上生存していれば、狂犬病ウイルスに感染していないと判断されます。

狂犬病の感染原因と症状

狂犬病の感染経路

狂犬病に感染した動物に咬まれることで感染します。唾液のついた爪で引っ掻かれても感染の危険があります。狂犬病を発症すると現在の医学では治療法がなく、ほぼ100%が死亡する怖い病気です。

発病するかどうかは咬まれた傷口の位置、大きさやウイルスの量で大きく変わります。

狂犬病にかかった犬の症状は、一般的に狂躁時と麻痺時に分けられますので、おとなしいからといって安全とは限りません。

狂犬病の症状

  • 潜伏期間は通常20~60日程度です。
  • 主な症状は、発熱、頭痛、全身の倦怠感、嘔吐、噛まれた傷口が傷む、液体を飲むと痙攣を起こす、落ち着きのなさ、興奮しやすい、筋肉の痙攣などがあります。

傷の度合いによる噛まれた後の処置方法

狂犬病ウイルスに感染又は疑いのある動物(稀に野生のネズミ類、家畜や野生のウサギも対象となる)、あるいは狂犬病であることがはっきりしている動物との接触があった場合に、WHOではヒトに対して推奨される対処方法を3つのカテゴリーに分けて示しています。

カテゴリー1.触ったり、餌をあげたりした場合や正常な皮膚の上を舐められた場合
暴露後処置:皮膚の洗浄(ワクチン接種不要)

カテゴリー2.僅かに皮膚をかじられた場合や、出血を伴わない引っ掻き傷や浅い擦りむき傷、傷のある皮膚を舐められた場合
暴露後処置:緊急ワクチン接種と傷の手当

カテゴリー3.1か所以上の皮膚を貫通した咬み傷やひっかき傷、損傷を受けた皮膚を舐められた、舐められたことで唾液と粘膜(眼、口、唇、鼻)が接触、コウモリとの接触
暴露後処置:緊急ワクチン接種、抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン(RIG)投与、傷の手当

狂犬病流行地で動物に咬まれた際の狂犬病ワクチンの接種方法の違い(暴露後接種)

咬まれた部分を水や石鹸で洗浄し、できるだけ早く医療施設を受診し、狂犬病ワクチンの接種を開始してください。

咬傷前に狂犬病ワクチンを接種することを「暴露前予防=pre-exposure prophylaxis: PrEP」と言い、咬傷後に狂犬病ワクチンを接種することを「暴露後予防=post-exposure prophylaxis: PEP」と言います。

事前に予防接種を受けていない人(暴露前接種を受けていない)
傷の程度によっては、狂犬病に対する血清(狂犬病免疫グロブリン)の局所注射とワクチンの複数回接種をします。

事前に予防接種を受けている人(暴露前接種を受けている)
咬まれた後の追加接種(2回、0, 3日)が必要です。すでに接種を受けていても追加接種が必要です。追加接種は、出来るだけ早期に受けます。病院でワクチンを受けた日を0日とし、3日後に2回目を受けます。

狂犬病を予防するには

予防接種を受けるのが一番の予防法です。また、飼われている犬でも、舐められたりされないよう注意することです(皮膚の角質層が傷んでいると、ウイルスは侵入します)。

備考:狂犬病予防法第5条第1項により、狂犬病の予防注射を毎年一回、飼い犬に受けさせなければなりません。予防注射は動物病院または市が行う集合注射で受けることができます。注射を受けた際に注射済票が交付されるので、鑑札と同様に必ず首輪などに付けましょう。

狂犬病ワクチン接種をお勧めする方

哺乳動物の研究・捕獲。動物と直接接触する機会が多くなる長期滞在予定の方。
都市部から遠く離れ、緊急対応ができない地方部に滞在する方。キャンプやハイキングをする方。

感染した哺乳動物の唾液や分泌物の中に狂犬病ウイルスはいます(bite or scratch)。海外では繋がれていない犬や猫にご注意ください。奥地、秘境、洞窟探検などの冒険旅行が目的の方は接種をお勧めします。

ヒト(人間)狂犬病ワクチンの種類と接種方法

狂犬病ワクチン VERORAB

※最短3週間で暴露前接種完了!急な出張にも対応可能。

暴露前接種回数(推奨):3回
接種間隔:初回、7日後、21~28日後
 
0日 1週間 2週間 3週間 4週間
VERORAB 初回 2回目 3回目

狂犬病ワクチンの副作用

軽症の局所の痛み、赤く腫れる、時に全身反応(不快感、全身性の痛みと頭痛)が見られますが、どれも数日で終わります。
重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー症状等)の頻度は極めて稀ですが、過去にヒト(人間)狂犬病ワクチンを接種してアレルギー反応(喉の腫れ、息苦し、低血圧、ショック症状)が出た方は接種を控えましょう。
薬剤や食品アレルギーをお持ちの方は、診察時にお申し出ください。

東京で狂犬病ワクチンの予防接種をご希望の方へ

トラベル科は予約制ですが、当日予約も可能です。
お電話またはWEBからご予約ください。

品川イーストクリニック トラベルクリニック(渡航外来)では、狂犬病ワクチンの接種、世界各国で狂犬病免疫グロブリン接種された方が日本に帰国した後の続きの狂犬病ワクチン接種に対するご相談や接種実績が豊富にございます。東京で狂犬病ワクチン接種をご検討されていらっしゃる方は、お気軽にご相談ください。

WHO 勧告スケジュール(概略)  2018 年 4 月、狂犬病予防接種の WHO 勧告が更新されました。

<動物に噛まれた時の接種方法> 暴露後接種の方法

●狂犬病の暴露前接種を受けていない場合

皮内接種 2 箇所 0 日、3 日、7 日の 3 回
筋肉内接種 1 箇所 0 日、3 日、7 日、14~28 日の 4 回
2 箇所 0 日、 1 箇所 7 日、21 日の 3 回

●狂犬病の暴露前接種を受けている または 以前に狂犬病の暴露後接種を受けたことがある場合

免疫グロブリン(RIG) 接種は必要なし
皮内接種 2 箇所に 0 日、7 日の 2 回
筋肉内接種 1 箇所に 0 日、7 日の 2 回
海外渡航において、現地のドクターが WHO 勧告の更新を知らない場合もあります。 むやみに動物に近づかないようにし、噛まれないことが一番ですが、もし噛まれて現地で医療行為を受ける場合は、WHO の文書を参考までに現地のドクターにお渡しください。 海外には海外の事情があり、必ずしもこの方法で行われるとは限りません。現地のドクターの指示に従ってください。

ご予約はこちらから

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診察受付時間
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午後 14:30~17:30 × ×
  • 東京で狂犬病予防接種はどこで受けられますか?

    当院で接種可能です。当院では東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪など全国から多くの方が狂犬病のワクチン接種を目的にご来院いただいております。世界的に蔓延している狂犬病について世界標準のワクチンスケジュールをご案内しております。ご用意しているワクチンは海外で最も流通量の多い、安全なワクチンです。ワクチンを安全にご提供するため、コールドチェーン(ワクチンを低温で保ち、保管、輸送するための仕組み)も厳格に守っております。狂犬病ワクチンは常に豊富な在庫をご用意しておりますので、当日のご希望にも対応いたします。ご相談、ご予約はお気軽にお電話またはWEBからご予約ください。

  • 東南アジアで犬に咬まれ、現地医療機関で暴露後のワクチン接種を受けてきました。続きのワクチンを接種する必要がありますが、国内でワクチンを接種してもらえますか。

    はい。当院でも続きのワクチン接種は可能です。現地の医療機関で接種した接種証明書とスケジュールがわかればご予約時にお知らせください。東南アジアではVerorabというワクチンを接種することが多いです。暴露後接種の続きをご希望の際は、ワクチンブランドもお伺いいたしますのでご準備の上ご予約ください。狂犬病ワクチン暴露後接種のご予約はお電話にて承っております。TEL:03-5783-5522
    狂犬病の暴露後接種ご希望の旨お知らせください。尚、当院では現地で狂犬病暴露後接種を開始している方の帰国後に続きの狂犬病ワクチン接種をを対象としております。現地で開始していない狂犬病暴露後接種(暴露後予防=post-exposure prophylaxis: PEP)は当院では実施しておりませんので予めご了承ください。適切な医療機関をご紹介いたします。

  • 犬の狂犬病を認識する方法は?

    狂犬病にかかった犬の症状は、一般的には狂躁時と麻痺時とに分けられます。狂躁時は神経が過敏になっており、目が大きく見開かれ、牙をむいたり凶暴な状態になりますので見境なく咬みつくようになります。犬はくちびるや舌にケガをして、口から血の混じった泡や唾液を出していることがあります。鳴き声も異常です。一方、麻痺時は狂躁時のような激しい症状が見られず、頭や頸の筋肉が麻痺するため、餌を食べることが難しくなります。そのため、おとなしく路上で休んでいて静かな場合があります。おとなしくても注意が必要です。

  • ヒト(人間)狂犬病ワクチンの有効免疫期間

    狂犬病暴露前接種(暴露前予防=pre-exposure prophylaxis: PrEP)の接種間隔は、初回接種日から考えて7日後に2回目、21~28日後に3回目を接種して完了します。

  • 狂犬病ワクチンは何歳から接種できますか?

    ヒト(人間)狂犬病ワクチンの接種可能年齢に制限はございません。1歳未満でも接種は可能です。
    東京エリアで狂犬病クチン接種をお考えでしたら、お気軽にご相談、ご予約ください。

  • ヒト(人間)狂犬病ワクチンは動物に接種できますか?

    ヒト(人間)狂犬病ワクチンは動物には接種できません。動物に接種する場合は、お近くの獣医師にご相談ください。

  • 2回目からの期間が空きすぎているため、また1回目から打ち直しになると言われました。

    もし狂犬病を持つ動物に嚙まれてしまった場合に、より負担が少ない治療で発症の危険を確実に減らすため、事前に狂犬病ワクチンを接種しておくことを「暴露前接種」と呼びます。

    暴露前接種の推奨されるスケジュールは近年頻繁に見直されています。従来は4週間に3回接種することが基本とされていました。

    しかし2018年以降WHO(世界保健機関)や米国CDC(疾病対策センター)から新たなガイドラインが提唱され、「1週間に2回接種することを基本とする。ただし感染の危険性が非常に高い状況が続く場合(獣医師や野生動物と頻繁に接触する人、探検家など)は必要に応じ追加接種を検討してもよい」と推奨されるようになりました。

    よって、当院では海外渡航前に4週間の余裕がある方には従来の3回接種法をお勧めしています。もし4週間以内に出国せざるを得ず3回接種法が出来ない方には、新しい2回接種法をご提案し、海外在住が長く続く場合は一定期間後に追加接種をされるようご案内しています。

    渡米前に1週間間隔で2回接種されているので、新しいガイドラインに則りすでに感染予防に必要な基礎免疫は出来ていると考えられます。2022年1月予定の「狂犬病3回目」が接種できなかったとしても、2022年8月頃予定の追加接種を(多少時期が前後しても構いませんので)受けていただければよろしいです。

    ただし、海外には海外の事情があり、必ずしもこの方法で行われるとは限りません。現地のドクターの指示に従ってください。

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