アメリカ留学前に必要な予防接種

アメリカに留学する場合、必ず予防接種が求められます。

1ヵ月程の短期間の語学留学や語学学校ではあまり求められることはありませんが、4年制大学やコミュニティカレッジ、アメリカの大学付属の英語プログラムに参加する場合は、予防接種歴や健康診断書提出を求められることがほとんどです。要求されている接種を全て終わらせてからご出発されたい方は、数ヵ月かかることもありますので、留学等が決まりましたら早めにご連絡ください。
アメリカは州や大学によっては必要な予防接種の種類も異なりますので、留学先の学校からお知らせが来ましたらお知らせください。

なぜ予防接種が求められるのか

アメリカには日本以外にも、中国・東南アジアや南米、アフリカなど様々な国から留学生が集まるので、その国々で流行している病気が持ち込まれないよう予防接種については厳しい決まりがあります。集団感染が広がらないよう未然に防ぐためにも、全入学生に対し予防接種が求められます。これは語学留学で参加する学生でも例外ではありません。
予防接種には自分自身を感染から守るだけでなく、周囲への二次感染を防いだり、海外へ感染症を持ち込まないためにも大変重要です。
予防接種と同時に健康診断書の提出も必要になるケースがあり、学生生活中に病気にかかった際に、健康診断書をもとに大学側で迅速に最適な治療が行うためにも求められるものです。
健康診断書はアメリカだけでなく、カナダ、イギリスなど他の国でも同様で、ビザの申請時に健康診断書類の提出が求められることもあります。

どういった予防接種が必要なのか

州や大学によって求められる予防接種の種類は異なりますが、基本的にMMRは多くの州で要求されます。

MMRとは、Measles(麻疹)、Mumps(おたふく風邪)、Rubella(風疹)の頭文字をそれぞれ取ったもので、アメリカの大学で授業を受けようと思えば、この3種類の免疫の証明が必要です。

大学によっては、ワクチン別に必要な回数を求めます。接種日を記入又は抗体検査の結果を添付しますが、接種日も過去10年以内など細かな指示を出している場合もありますので、大学側からの書類をよく読み、もれのないようにする必要があります。ワクチンによっては数か月かけて接種を行うものもあります。
他にも『髄膜炎』『水痘』『ポリオ』『B型肝炎』『破傷風』などの接種が、留学先の州や学校によって指定されたものが求められます。

州ごとに異なる予防接種

求められる予防接種の種類は、次の要件ごとに異なります。


州によって求められる予防接種の種類は異なります。

大学
大学では州で求められた予防接種だけでなく、大学独自で推奨する予防接種の種類を規定しているところもあります。

コース・学部・プログラム・学年・年齢
その他、大学のコースや学部・プログラムで異なったり、新入生や編入生といった学生の特性、そして学生の年齢で異なる場合もあります。

  1. ニューヨーク州
    ニューヨーク州にある名門大学の一つコロンビア大学では、『MMR』『髄膜炎』の2つの予防接種が必須となっています。
  2. オレゴン州
    オレゴン州のオレゴン大学では、『MMR』『破傷風』『ジフテリア』『百日咳』『水ぼうそう』が必須のものとして求められています。
  3. カリフォルニア州
    UCLAやUCバークレーなどカリフォルニア大学では、『MMR』『破傷風』『ジフテリア』『百日咳』『水ぼうそう』といった予防接種歴が必須のものとして求められます。
  4. マサチューセッツ州
    マサチューセッツ州にある世界に名だたるハーバード大学で接種が求められるワクチンは『MMR』『破傷風』『ジフテリア』『百日咳』『B型肝炎』『水ぼうそう』です。
  5. ワシントン州
    ワシントン州にあるワシントン大学では、『はしか』が必須のものとして求められています。

実際に留学する先の州や大学でどういった種類の予防接種が求められているかは、進学される大学で最新情報をチェックするようにしてください。

結核の検査方法

アメリカへの留学・出張・渡航や、研究目的の中期・長期赴任時に、活動性結核の検査を要請されることがあります。結核の検査方法として、下記の検査方法がございます。

予防接種関連の英語の用語と日本語訳

英語 日本語
Measles はしか、麻疹
Rubella 風疹
Mumps おたふく風邪
MMR 麻疹・おたふく・風疹混合
Tetanus 破傷風
Diphtderia ジフテリア
Pertussis
Tdap
百日咳
破傷風・ジフテリア・百日咳混合
Meningitis 髄膜炎
Hepatitis B B型肝炎
Varicella 水痘
Chicken Pox Varicella水疱瘡

ツベルクリン検査

日本とアメリカの制度による相違
日本では、平成17年4月1日に結核予防法がおよそ50年ぶりの改正により、乳幼児へのツベルクリン反応検査は廃止され、BCG接種を生後6ヶ月までに行っていました。その後、平成19年に結核予防法は廃止となり、感染症法に統合されました。

BCG(弱毒性結核生ワクチン)を接種することによって、結核菌に対する免疫を獲得します。そのため、日本では、ほとんどの人がツベルクリン反応検査で陽性と診断されます。

一方、アメリカでは、BCGワクチンの接種は行っていません。したがって、ツベルクリン反応検査はほとんどが陰性です。アメリカ在住者において、ツベルクリン反応陽性=結核感染を意味します。

日本と海外のツベルクリン判定基準の相違

日本と海外のツベルクリン判定基準の相違
ツベルクリン反応検査基準も、日本とアメリカを含む海外では異なります。

日本では、発赤長径(B)で判定しますが、
海外では硬結(膨疹)の大きさで判定します。
したがって、赤くなっていても、硬結になっていなければ陰性となります。

ツベルクリン反応が陽性の場合、診断書が必要です
アメリカでは、国外からの長期滞在者(留学、海外赴任など)に、活動性結核の検査を要求します。これは、国外から結核を持ち込まないための水際対策です。
その結核検査として、ツベルクリン反応検査やIGRA検査を行います。

先に述べたとおり、BCGワクチン接種をした場合、ツベルクリン反応検査が陽性になることがあります。その場合は、過去にBCGワクチン接種の有無(母子手帳で確認)と胸部のレントゲン検査やIGRA検査によって、活動性結核症の判定を行い、現在結核に感染していない旨を証明し診断書を作成します。

IGRA検査とは

結核感染の診断法として、これまではツベルクリン反応が用いられてきましたが、BCG接種や非結核性抗酸菌症による影響を受けるため、IGRA「Interferon-γ release assay」検査を要請するケースが増えてきています。留学先によっては、結核感染の診断に用いる検査方法を指定していることもあります。
「結核菌に感染している(していた)か否か」 を判断する検査です。
IGRA検査には、 T-Spot と クォンティンフェロン(QFT)の2種類があります。

詳しくは、T-Spot(Tスポット) 又は クォンティンフェロン(QFT) をご覧ください。

T-Spot(Tスポット)検査

T-Spot検査(Tスポット)検査について
T-Spot検査は、結核菌特異抗原であるESAT-6とCFP-10の2種類を血液中のリンパ球に暴露させ、インターフェロンγを産生するリンパ球数を測定する検査です。(日本では2012年11月に保険適用。)

T-Spot検査の結核菌特異抗原は、BCGワクチン株には認められません。よって、BCGワクチン接種の既往や環境中の抗酸菌感染の影響を受けないこと、また、ツベルクリン反応のように結果判定のために再度医療機関に行く必要がないというメリットがあります。また特異度・感度が高く、免疫脆弱者でも高特異度・感度が保証されている点です。

T-スポット検査は採血後32時間以内に抗原刺激を開始することで高特異度・感度の結果が得られることが基礎研究より証明されていますが、そのためには温度管理を厳密に遵守する必要があります。採血時間に合わせて、搬送車両がセッティングされていますので、予約時間に遅れないように、ご来院いただきますようお願いいたします。

【ご注意】 T-Spot検査は、過去に結核感染を経験したことのある方は陽性になります。昭和20年台以前にお生まれの方は、幼少期から青年期にかけて結核菌に自然暴露・感染している方が多いため、T-Spot検査はお勧めしません。 T-Spot検査は結核の治癒判定には利用できません。

T-Spot検査の判定
T-Spot検査結果の判定は、アメリカとアメリカ以外では異なりますので、留学先に合わせた判定が必要となります。

検査結果 アメリカ(CDC)の判定 アメリカ以外の判定
陽性 8以上 6以上
陰性 4以下 5以下
判定不能 陰性コントロールが10スポット以上 陰性コントロールが10スポット以上
陽性コントロールが20スポット以下 陽性コントロールが20スポット以下
判定保留 5~7 規定なし

クォンティフェロンTBゴールド検査(QFT)

クォンティンフェロン(QFT)検査について
クォンティンフェロン(QFT)検査は、結核菌特異抗原であるESAT-6、CFP-10及びTB7.7の3種類を血液中のリンパ球に暴露させ、インターフェロンγを産生するリンパ球を測定する検査です。(日本では2005年4月に保険適用。)

クォンティンフェロン(QFT)の結核菌特異抗原は、BCGワクチン株には認められません。よって、BCGワクチン接種の既往や環境中の抗酸菌感染の影響を受けないこと、また、ツベルクリン反応のように結果判定のために再度医療機関に行く必要がないというメリットがあります。

クォンティンフェロン(QFT)検査は採血後16時間以内に抗原刺激を開始することで高特異度・感度の結果が得られることが基礎研究より証明されていますが、そのためには温度管理を厳密に遵守する必要があります。採血時間に合わせて、搬送車両がセッティングされていますので、予約時間に遅れないように、ご来院いただきますようお願いいたします。

【ご注意】 クォンティンフェロン(QFT)検査は、過去に結核感染を経験したことのある方は陽性になります。昭和20年台以前にお生まれの方は、幼少期から青年期にかけて結核菌に自然暴露・感染している方が多いため、クォンティンフェロン(QFT)検査はお勧めしません。 クォンティンフェロン(QFT)検査は結核の治癒判定には利用できません。

クォンティンフェロン(QFT)検査の判定

検査結果 判定基準 (単位:IU/mL)
陽性 0.35以上
陰性 0.1未満
判定不可 陽性コントロールが0.5未満
判定保留 0.1以上~0.35未満

T-Spot検査とQFT検査の比較

  T-Spot QFT
原理 精製リンパ球を用いIFN-γ産生細胞数をELISPOT法により測定 全血を用いIFN-γ量をELISA法により定量
使用する結核菌特異抗原 ESAT-6、CFP-10 ESAT-6、CFP-10、TB7.7
採血から検査開始までの時間 採血後32時間以内 採血後16時間以内
海外の使用状況 ヨーロッパで広く使用 アメリカで広く使用

検査の流れ

T-Spot検査、クォンティンフェロン(QFT)検査がある方は予約をお勧めします。 検査があるかわからない方はご来院時に確認しますのでご安心ください。但し、当日に検査ができない場合もございますので、予めご了承ください。

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